教育研究所
No.173変わりつつある学校-その2-(2005年07月25日)
S大学では,本年度より小学校・幼稚園教諭養成課程が開講され,講師として指導に当たっている。
その履修科目の一部が「社会人生涯学習プログラム」を兼ねて土曜日に位置付けられ(第1限 8時50分~第5限 17時50分),大学生とともに現職教員(科目等履修生という)が熱心に受講している。
特に,現職教員はいろいろな事情があるようであるが,その中でN氏の話を紹介する。N氏は現職の都内の中学校教諭である。
現場では,小中連携の必要性が叫ばれ,小中連絡協議会や学習指導法の共通理解,教員による授業参観・交流等が計画されているが,学校週5日制の実施も加わり,諸行事等から時間が取れず内容がなかなか深まらないという。
義務教育段階での小中連携の必要性は理解できるが,現状では教育内容の交流までには至らないとのこと。
中学校側としては,小学校の教育課程の内容まではわからないし,小学校側でも中学校の教育課程が理解されていない。
そこで,土曜日の休みを利用して,小学校の教育課程を少しでも理解したく受講しているが,学校行事,体育祭や学校公開等と重なり思うように受講できずに悩んでいるようである。
公立学校でも,中高一貫教育,また,地域によっては小中連携教育が実施され始めているが,それも始動しはじめたばかりである。
教員免許状の上では,小学校・中学校の区別はあるが,小中教員の交流が実施されなければ,その実を上げることはなかなか不可能であろう。
本来は,教育行政上の措置として実施されなければならない問題であるが現状では,未だそのような動きはない。
学校5日制の土曜日を利用して,小学校の教育課程の内容を少しでも理解し,小中の連携に寄与したく自ら進んで受講しているN氏の話から考えさせられた内容であった。
単位履修というねらいもあるのかもしれないが,まず教育課程の内容を知ることにより,小中の連携が開かれていくのであろう。