教育研究所
No.386 「今日学校で,たし算を勉強したよ」(2014年10月10日)
昨年の4月から,息子の家に週1回出向き,二人の孫の世話の手伝いをしている。疲れるけど楽しい,待ち遠しい1日である。二人の孫は,小学校1年生の男の子と,2歳の女の子である。
小学1年生の孫の話しである。学校から帰ってくると一番に
「おばあちゃん来てる」それから,「おやつなあに」時には,「トイレ,トイレ」
と駆け込んでくることもある。
「どうして学校でやってこなかったの」「集団下校で行く時間がなかった」
と会話は続く。
「今日ちびまる子ちゃんの防犯教室のビデオを見たよ。知らない人って悪い人なの」
と困った質問もでる。
そんな会話の中に,こちらから聞かないと,学習したこと,勉強したことの話はほとんど出てこない。ところが,1学期のある日,帰ってくるとすぐランドセルを開け,「さんすう」の教科書を広げて,
「おばあちゃん見て,今日さんすうの時間にたし算をやったよ」
と,「たし算」の載っているページを開いて,楽しそうに話しかけてきた。そして,孫は,おやつも忘れて,説明するための準備を始めた。
段ボールの中から大好きな鉄道模型を作るために,線路,ホーム,トンネル,踏切などを引っ張り出してきた。しばらくすると,大がかりな鉄道模型ができあがった。さらに駅に隣接する駐車場を組み立てた。「たし算」を説明するための準備の第一歩ができあがった。それから,お絵かき帳の1枚を取り外して持って来た。その1枚を,駐車場の横に置いて,駐車場のそれぞれの自動車のスペースをしきるために,区切りを書き始めた。書き終わると,
「おばあちゃん来て」とようやく呼ばれた。
これからたし算の説明を聞くのだと楽しみになった。
「おばあちゃん聞いて」「駐車場を見て」
ミニカー2台を使って,
「最初,駐車場に自動車が2台あったんだよ」
さらに3台のミニカーを持って来て,
「そこに3台自動車がまた来たんだよ。合わせて何台になりましたか」「5台でしょう」「そう。『2+3=5』になるんだよ」
得意げに言った。それにしても,準備が長かった。感動したことを伝えるために,一番好きなものである鉄道模型を使って,説明したかったのだろう。
「たしざんの勉強,楽しかったのね」「うん」
何だか,こちらまでうれしくなった。
同じように勉強の話しが出たことがもう一度あった。「ひき算」の時である。この時も鉄道模型と駐車場を使っての説明だった。
(K・T) (2014年10月10日)