教育研究所
No.389 「『スミレを育てる老人,そのスミレを食べる蝶』の話」(2014年10月31日)
無趣味の自分は,70年間,仕事まあまあ,遊びまあまあののんべんだらりとした生き方をしてきました。その自分が,唯一凝っていることがあります。それは,スミレを育て,眺めて,悦に入ることです。
家族には,花の咲くころだけは喜ばれています。狭い庭のあちこち,ブロック塀に沿った外側まで,いろいろな種類のスミレが植わっています。
野性が中心ですが,種類が異なると生存競争をするので,「弱いものは鉢植えに」「中くらいのものはじか植えに」「強いものは塀の外に」と,棲み分けさせています。これは,結構うまくいって,毎年,春にはそれぞれのスミレがきれいな花を見せてくれます。
冬の陽だまりに,季節外れの花を咲かせるスミレは,これはこれで可憐でいいものです。スミレは,春は花弁のある開化花(?)ですが,そのほかの季節は閉鎖花で,つぼみはできますが開化せず種だけできます。
ところが,今年は異変が起こりました。温暖化で,関東にまで進出し,越冬できるようになった蝶「ツバクロヒョウモン」が,卵を産み,幼虫のなって,大事なスミレの葉を食い荒らし,丸坊主にしてしまいました。「全く――!」の心境です。
都立多摩動物園の昆虫館に聞いてきたら,根が残っていれば,来春また芽を出し,またきれいな花を咲かせるということでホッとしました。まあ,ひらひら飛んでいる蝶も悪いものではないので,共存を認めることにしました。
また,来春のスミレの花と,スミレの葉を植生とする蝶を楽しみに,雑草抜きをして,環境を整えることにしましょう。(H・K)(2014年10月31日)