教育研究所
No.397 「道徳の読物資料」(2015年1月26日)
ある日の電車の中の光景を切り取った。「この中に登場する人について,あなたはどのように感じましたか?そして,あなたならどのように行動しますか?」と,問いかけ,表現させ,その後で,グループや学級全体で話し合わせてみてください。道徳の時間の読物資料としてどんなものでしょうか!?
★事例1
駅に着きました。一つだけ席が空きました。お年寄りがその席に座ろうとしました。でも,若い人がさっと割り込み座ってしまいました。お年寄りは若い人の膝に座ってしまいました。お年寄りはびっくりし,残念そうな顔をして,恥ずかしそうに少し離れたところに移動しました。若い人は楽しそうにスマホをしていました。
★事例2
お年寄りと若い人が吊り革につかまっていました。若い人の前の席が空きました。若い人は,「どうぞ!」と譲りました。お年寄りは「ありがとう」とお礼を言って座りました。3つ目の駅で,お年寄りは降りました。降りるとき,若い人に「ありがとうございました。とても助かりました」と。また,お礼を言いました。若い人は「どういたしまして」と,お年寄りに譲った席に,今度は自分が座りました。
★事例3
数人の子どもが並んで座っていました。駅に着いて,お年寄りが乗ってきました。一人の子が「どうぞ」と言って席を譲りました。お年寄りは,なにくわぬ顔で座りました。子どもたちは,比較的小さな声で楽しく話していました。
★事例4
優先席は満席でした。駅に着き,お年寄りが乗ってきました。若い人が二人座っていましたが,どちらのスマホに夢中で席を譲りませんでした。それを見ていたさっきのお年寄り(若そうなお年寄り)が,「どうぞ!」と,席を譲りました。「腰が痛いので助かりました。ご親切にありがとうございます」と丁寧にお礼を言って座りました。
★事例5
72歳のKさんは,初めて地下鉄副都心線に乗りました。よくわからないので1つ手前の駅で降りようと席を立ちました。いざ,降りようとすると次の駅だと気づき,手すりにつかまっていました。Kさんの座っていたところに座った高校生が,「おじさん,どうぞ座ってください」と席を立ちました。「次で降りますからだいじょうぶです」とKさんは断りました。高校生は,「ひと駅でも座ると楽ですよ」と,また勧めてくれました。「そうかい,お嬢ちゃんは優しいね。ありがとう」と言って,Kさんは座りました。次の都庁前駅に着きました。「お嬢ちゃん,ありがとう。とても楽でしたよ」と,お礼を言って降りていきました。(H・K) 2015年1月26日