教育研究所
No.403 「おもらし」(2015年2月10日)
新米教師の頃の思い出である。
Aが「先生,うんちのにおいがする!」と耳元でささやいた。前の席のBがお尻をもぞもぞ触っている。「あ!やったな」と直感して,「B君,ちょっと手伝って,保健室に行って,この手紙を保健の先生に渡してきて」と言って,急いで「○○先生,お漏らし,頼みます。」とメモを書き,持たせた。休憩時に,保健の先生に訳を話してお詫びとお礼をした。翌日,「これ,お母さんから」といってBが新聞紙にくるんだものを渡してくれた。きれいに洗濯したパンツと感謝の手紙だった。改めて,保健の先生にお礼を言った。
ところが,最近読んだ本に驚いた。(どこで読んだ何という本かは失念)
4年生の教室で,男の子が女の子にバケツで頭から水をかける事件が起こった。男の子はなぜそうしたか一切言わない。女の子も,男の子を責めない。これから気をつけなさいということでその日は帰したそうだ。
その後,十何年もたって,クラス会があったそうだ。そこで,女の子が当時の真相を話した。それは,「実は私,あの日お漏らしをしてしまったの。そうしたらC君が,バケツで水をかけて救ってくれたの。おもらしがばれなくて恥ずかしい思いをしなく済みました。訳を言えば,私のおもらしが分かってしまうと,じっと黙って怒られ続けたC君に感謝したわ。今でも」ということだった。
久しぶりに感激した。(H・K)(2015.年2月10日)