教育研究所
No.418 「「アクティブ・ラーニング」について考える」(2015年4月21日)
文部科学大臣が「中央教育審議会」に諮問(平成26年10月20日)してから,「アクティブ・ラーニング」が注目を集めている。諮問の中では,「必要な力を子どもたちに育むためには,「何を教えるか」と言う知識の質や量の改善はもちろんのこと,「どのように学ぶか」と言う,学びの質や深まりを重視することが必要であり,課題の発見と解決に向けて,主体的・能動的に学ぶ学習(いわゆる「アクティブ・ラーニング」)や,そのための指導の方法等を充実させていく必要があります」と,さらに「こうした学習・指導方法は,知識・技能を定着させる上でも,また,子供たちの学習意欲を高める上でも効果的であることが,これまでの実践の成果から指摘されています」と,効果に大きな期待を寄せている。
ところで,一部に,「アクティブ・ラーニング」はもともと大学教育で講義脱却の授業改革とはじまったもので,これを小・中学校に降ろすのが重要である。そして,いまだに,小・中学校では,教科の授業は依然として講義型を脱却していないというのである。「アクティブ・ラーニング」は,質の高い知識習得・技能習熟を基礎として,グループワークやディスカッションなどを加味していく高度な学習理論だともいう。
小・中学校の現場を見たことのない人による思い違いであると思われるが,「そんなことはない…」と否定しつつ,「アクティブ・ラーニング」の意味を問い返し,現在行われている学習・指導方法を見直し,一層充実させるようにしたい。つまり,「アクティブ・ラーニング」を従来にない全く新しいこととして捉え実践していくことも,「アクティブ・ラーニング」は既に行われていると無視・傍観していくことも,どちらも好ましいものではない。小中学校の実践者の皆さんの積極的な実践報告,改善案,新たな提案を期待したい。(H・K)(2015年4月21日)