教育研究所
No.424 「<笑って>いられない話」(2015年5月15日)
ある月刊誌に,ちょっといい話が出ていたので紹介します。
「バスの中で,おばあさんが,料金を払おうとして,1万円札を出した。運転士は,1万円札は両替できませんと,そっけなく断った。おばあさんはおろおろするし,バスは出発しないし困っていた。すると,女子中学生が後ろの方からやってきて,PASMO(パスモ)でおばあさんの料金を払ってやった。『ありがとう,後で返しますからお名前と電話番号を』と言うと,中学生は,『私も前に親切にしてもらったからそのお返し』と言って,さっと後ろの席に戻ったそうだ。おばあさんは,何度も頭を下げておりていった。バスの中はさわやかな空気に包まれた。」と言う話です。
これを家に帰って夕食時に,今日,私が見てきたかのような話にして話しました。
そしたら,二人の腕白の孫が,口をそろえて,「何だ,ジージ,だらしないぞ。中学生に払わせないで,大人のジージが払うべきだ。情けない」と。バーバは,ゲラゲラ笑っていました。「この中学生が偉いと言いたかったんだよ・・・」と言っても,私の信頼は回復しませんでした。(でも,このような中学生が存在することは素晴らしい事だとはそれなりに分かったようです。)
最近は,コンビニに行くか,図書館に行くか,病院に行くかが外へ出かける用事です。病院の帰り,昔一応乙女,今確実に太目の老妻が,自転車に乗ってやって来ました。家と反対の方へ行くので,「おい,どこへ行くんだい」と声をかけました。自転車から降りて「買い物に行ってきたのよ」と言って,また自転車に乗って後ろの方に走っていきました。近づいて,老妻によく似てはいるが,老妻でないことに気付きました。でも,その女の人が私にごく自然に応対してくれたので,違和感はありませんでした。
自宅に帰り炬燵で本を読んでいる老妻を見て,人違いを確信しました。このことを「報告」すると,「お互い様ね」とゲラゲラ笑われてしまいました。(H・K)(2015年5月15日)