教育研究所
No.432 「素敵な本のご紹介」(2015年6月19日)
「戦略は「一杯のコーヒー」から学べ」 永井 孝尚 著(株式会社KADOKAWA本体:1400円)
コーヒーは好きだけれどもコーヒーのことはよく知らないという人にお薦めの本である。一杯のコーヒーされどコーヒーを実感する。コーヒーは健康にも良いともてはやされている。コーヒー業界は現在発展中であり,いろいろな他業種が参入している。最近,昔ながらの一軒のコーヒー店が見直されているとも聞く。
インスタントが多いが毎日飲むコーヒーがビジネスの世界真っ只中にあることに驚かされる。登場するメーカーは「ドトール」「UCC」「マクドナルド」「スタバ」「ネスレ」「セブンカフェ」(本書の表記のママ)。それぞれが時代のニーズに応じたり先取りしたりしてコーヒー業界をリードする姿をみることができる。ドトールが邪道と言われた缶コーヒーで成功した理由。経営合理化に失敗して原点回帰して再生し、広告に金をかけないスタバ。コーヒーマシンを無償で提供し専用カートリッジを販売するジレットモデルで高収益ビジネスを展開するネスレ。そして,セブンイレブンは店内でコーヒーを出すことに30年以上挑戦し5回目の挑戦がセブンカフェとして実った。歴史があるのである。
折々に紹介される美味しいコーヒーのたて方,味わい方などを参考にしながら,あらためてコーヒーを味わってみましょう。少し味がかわるかも。(C・T)(2015年6月19日)
「私たちは今でも進化しているのか」マーリーン・ズック 著渡会圭子 訳(文芸春秋社本体:1800円)
ハワイ諸島に生息するコオロギが、5年未満(だいたい20世代) でオスが鳴かなくなったのを発見する。コオロギに寄生するハエに見つからないようにするためだ。求愛のために鳴くことを止め,ハエを避けることを選択した結果,進化したのである。人間の場合にも進化は短いスケールで起きていると主張し,進化の多彩な例を紹介する。専門用語が入り難しいところもあるが,各章の主題と問題提起を頭に入れて読むと把握しやすい。
「石器時代の愛とセックス」では,人類に最も適した男女関係は一夫一妻か,フリーセックスか?,霊長類や狩猟採集民の性行動を例に愛の形の歴史を探る。「病気と健康の進化論」では,遺伝子によって病気になる運命かどうかは決まっているのか,AIDS,結核,癌,人類と病気の関わりを病原体の進化から読み解いている。
人間の進化を著者が示すように多彩な角度から科学的に考えてみるのも面白いのではないか。著者は現在ミネソタ大学教授で,進化生物学と行動生物学を専門とする学者である。(C・T)(2015年6月19日)
「一流の時間の使い方豊かな時間を生み出す方法」中谷 彰宏 著(リベラル社 本体:1300円)
本書は「時間に追われる毎日から、余裕を持ちたい人」「時間を生みだして好きなことをしたい人」「テンポを早くして,一流の人になりたい人」の三人のために書かれている。そのために「豊かな時間を生み出す六二の方法」が提言されている。
提言は始めの目次に列挙されているので,まずそれをチェックしてみよう。なによりも重視するのは「スピード」。「やる気はスピード」。スピードは「集中力」を高める。一流の人の時間の使い方は「スピードが速い,余裕がある、きちんとしている」。これにより勉強する時間が確保でき,勉強するからますます力がつき一流になる。一流に向けたサイクルである。
ではどうしたらスピードを上げられるか,集中力を高められるか。基本は,決断を早める,習慣化する,一分一秒を無駄にしない,逆に仕事を増やして時間を革新する,相手の時間を大切にすることとある。最も大切さなことは「今やる」こと。
多忙な毎日の学校。もっと時間があればと思うが、一日は二四時間,時間には限りがある。睡眠時間を削るか、急いで食べるか、それでは健康を害することになる。では、どのようにして時間を生み出すか,時間をうまく使うか。本書はまさにそれに答えてくれる。(C・T)(2015年6月19日)