教育研究所
No.458「「説明学習」の勧め」(2015年8月30日)
神奈川県の中井町教育委員会が,「説明学習」(学校で学習したことを,家に帰ってから,家族に説明する。このことによって,学習内容が整理され,理解が深まり,さらに家族との会話も増えるという)を奨励している。
学校外の学習時間を増やすこと,復習を習慣化し,全国学力・学習状況調査の結果を向上させるために,家庭を巻き込むということにねらいがあるようだ。事実,秋田県や福井県では,家庭での学習に保護者,特に祖父母の関わりが,学力調査の高い結果を支えているとの報告もある(実際は,教育委員会と学校が連携して教師の授業力を向上させていることが大きいと思う)。
家族が,子どもの学習をはじめ,様々なことに関心を持ち,悩みや将来のことについて団欒することはいいことである。いじめの兆しや非行の芽,子どもの将来の夢などについて,語り合うことは,子どもの人格づくり,悩みに親身に応える,生命を守るなどの意味からも大切なことである。
私は,若い頃,H市教育委員会の指導主事をしていたことがあったが,その頃,A小学校の校長だったH・I校長の自慢話を思い出した。「うちの子どもは予備校にも行かなかったが,2人とも東大を現役で合格した」「母親が,小学校1年生から高校3年まで,毎日,その日に学校で学習したことを話させ,質問しながら訊いていた」「難しい内容になると,お母さんにはその説明ではわからない。もっと分かり易く話して…」という具合だったようだ。40年も前に,「説明学習」の例が存在していた。(H・K)(2015年8月30日)