教育研究所
No.463「おじいちゃんありがとう」(2015年9月4日)
暑い一日(仕事)が終わって,帰路についた。高田馬場で乗っては,たいてい座れない。そこで,西武新宿まで1駅戻って,始発から座ることを常としている(もちろんその分の運賃も購入している)。今日もそうした。
鷺宮駅で,人生を相当長く重ねた御婦人が乗車してきた。せっかく確保した座席であったが,「どうぞ!」と声をかけた。「ありがとうございます。お年寄りに譲ってもらってすみませんね」と,素直に応じていただけた。でも「お年寄りに譲ってもらってすみませんね」は余計ですよ「おばあちゃん!」。
最寄り駅で下車し,バスに乗り,運よく座れた。もう少しで我が家である。冷たいビールでと,思っていたら,次の停留所で,またまた私よりはるかに年上のご婦人が乗車してきた。スマホに夢中になっている若者ばかりなので,「どうぞ」と席を譲った。「ありがとうございます。お年寄りに譲ってもらってすみませんね」と,同じことを言われた。思わず,「いや,まだ,60ですから」と見栄を張った。「ごめんなさい。私,男を見る目がないものですから」と,応酬された。「いい加減にしろ!ありがとうと言う一言だけで十分だ!」と,返そうと思ったが,ぐっと言葉を飲み込んだ。
確かに自分は「おじいちゃん」だけれども,90に迫るか超えている「おばあちゃん」に,「おじいちゃん」扱いをされ,その日は,いつもの倍のビールを飲んでしまった。(H・K)(2015年9月4日)