教育研究所
No.475「全国学力調査の結果の考察「ほんとう??」」(2015年11月4日)
今年度も全国学力・学習状況調査(小学校6学年:国語,算数,理科,中学校3学年:国語,数学,理科)が4月に行われ,8月下旬に結果が公表された。
学力調査の結果と,アンケート調査の一部「授業で児童生徒が課題を設定し,解決に向けて話し合い,表現するなどの学習活動(アクティブ・ラーニング)を取り入れたか」の結果との相関関係を分析している。
「よく行った(小学校17.4%中学校12.7%)」「あまり行っていない(小学校26.4%中学校35.3%」で,「全く行っていない」はほとんどなかった。小学校の国語B(知識・技能の活用する問題)の平均正答率(平均点)で比べると,アクティブ・ラーニングを「よく行った」学校は67.3%,「あまり行っていない」学校は63.7%,「全く行っていない」学校は59.3%となり,アクティブ・ラーニングを行っている学校ほど成績がよく,他教科でも同様の傾向が認められた。と,いうのである。
これは,「アクティブ・ラーニング」ではなく,従来から実施している「授業で児童生徒が課題を設定し,解決に向けて話し合い,表現するなどの学習活動」の有用性を確認できたということであり,すり替えてはならない。
ある調査(一般財団法人教育調査研究所「研究紀要第95号小・中学校におけるアクティブ・ラーニングの現状と今後の課題」)によれば,アクティブ・ラーニングの認知度はかなり低いそうである。つまり,アクティブ・ラーニングというカタカナ語ではなく,これまでに小・中学校が積み上げてきた学びの指導を再点検し,「授業で,児童生徒が課題を設定し(あるいは所与の課題について),解決に向けて主体的に考え,表現し,協働的に学び合っていく学習活動」として,深化させていくことが重要のように考える。(K・H)
(2015年11月4日)