教育研究所
No.487「やっぱり今の方がよいが」(2015年12月12日)
大石学の「江戸の教育力」を読んだ。江戸の教育について様々に紹介されている。
○「女性の多くが文字を書く。教育では体罰をしない。子どもは寺で学習する。まず書くことを学び、その後で読むことを学ぶ。子どもは10歳にして50歳の判断力・賢明さ・思慮分別がある」(ポルトガル人ルイス・フロイス「日本覚書」1585年)と称賛している。
○「国民は優秀で、子どもたちもよく学問し、規律を守り、外国語も短期間に習得する。生活の恵まれない人たちも優れ、上品で仕事熱心である。日本人は穏やかで、子ども達は下品な言葉を遣わず、暴力も振るわない。大人のような理性と落ち着きをもっている。服装、食事、仕事などは清潔で美しく、全ての日本人が同一の学校で教育を受けたようである」(ポルトガル人アレッサンドロ・ヴァリニャーノ「日本巡察記」1597年)
○「日本人は子どもを注意深くかつ優しく育てる。たとえ一晩中やかましく泣き叫んでいてもぶったりすることはめったにしない。辛抱と優しさをもってなだめ、悪口を言ったりしない。…」(オランダ人フランソア・カロン「日本大王国志」1645年)
正直のところ、これが一般的にいえることなら驚きの事実である。また、限られた中で知りえたことであったとしても、決して悪い気のしない事実である。しかし、平成の教育は、江戸の教育に勝るとも劣らない面が多くあると思う。それゆえに、2020年東京オリンピックを「おもてなし」と言うことに矮小化することなく、上記のような記録に勝るとも劣らない「日本人論」「日本の子ども論」が、訪れた外国の人々によって記録され、遠い未来の日本人によって考察されるようであってほしいと思う次第である。(K・H)
(2015年12月12日)