教育研究所
No.517「寄席演芸評論家・正岡容」(2016年2月16日)
読売新聞の編集手帳(2016.1.23)で,正岡容(まさおかいるる1904~1958)氏の言葉に出合い感動した。氏に師事した人には,人間国宝桂米朝,俳優小沢正一・加藤武,芸術評論家大西信行らその道の一流人が数多いる。
氏が常日頃,「その人の芸を叱ろうとする時は,まず芸の内で褒める個所を見つける。なくても懸命に探して褒めてやれ。誰も褒めてくれなかった自分のよさを認めてくれた人の言うことなら,どんな苦言でも素直に聞こうとするものだ」を,口にしていたそうだ。多くの人を個性的に育て挙げた人の一言には,まことに深いものがある。
これは,まさに,「まず子どもの良い所を見つけ,認め,褒めて,自信を持たせ,前向きにしていく。その後で,ここに気を付ける(頑張る,勉強する,工夫する)と,もっと良くなると注文を付ける」で,肯定的評価そのものではないか。(私は,昭和47年頃に,肯定的評価(認めて育てる)を言い出した。でも,源流は,はるか前にあり,どこかで無意識に学び取っていたのかもしれないと,考え方は主張するが,発案者だとは言わないことにした。)(H・K)
(2016年2月16日)