教育研究所
No.518「教育のキーワード・1―昭和22年の学習指導要領」(2016年2月17日)
昭和22年3月20日に「学習指導要領一般編(試案)」は,「教科課程(当時,Curriculumと訳され,教育課程と言うようになったのは,昭和33年以降である)とその内容についての取扱い」の基準(当時試案,昭和33年以降告示)として刊行された。
本書の序論には,「これまでの教育では,その内容を中央がきめると,それをどんなところでも,どんな児童にも一様にあてはめて行こうとした。だからどうしても画一的になって,教育の実際の場での創意工夫がなされる余地がなかった。このようなことは,教育の実際に色々な不合理をもたらし,教育の生気をそぐようなことになった。」と,現在の学校現場に対する警鐘ともとれる一文である。
その他にも,今に通じるヒントが満載である。そのいくつかを紹介する。
<児童や青年の自発活動を考えるpp28~31>
1身体的活動,
2好奇心を満足させる活動,
3社会的な活動,
4ものをもてあそんだり組み立てたりする活動,
5劇的な遊びの活動,
6表現の活動,
7物を集める活動。
<学習の進行にそうことp32>
第1の段階:目的を知り,その学習に必要な素材を底に取り出してみる,
第2の段階:自ら計画を立て,それによって,1つの正しい考え方をまとめ(組織の段階),知識を求める(知識の段階),
第3の段階:練習や応用の段階。これらは,現在の問題解決学習の段階の源流で,問題理解,自力解決&検討&まとめ,適用・発展に当たるものである。
<学習の目的を考えることpp33~34>
1一つの考え方の理解にいたるもの(理科や化学など問題解決の学習),
2与えられた知識を獲得するもの(社会生活の智識や文字の読み・意味など記憶的学習),
3一つの知識を外物の観察によって得るもの(自然の観察・実験による知識の獲得など観察的学習),
4一つの技術にいたるもの(体操や図画,修治など技術的学習),
5音楽や絵画の鑑賞など鑑賞力を養うもの,
6健康の習慣や礼儀ある態度など態度を養うもの。(H・K)
(2016年2月17日)