教育研究所
No.524「教育のキーワード・7―平成10年の改訂」(2016年2月23日)
教育課程審議会答申は,21世紀を展望し,「ゆとり」の中で「生きる力(いかに社会が変化しようと,自分で課題を見つけ,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,行動し,よりよく問題を解決する資質・能力,自らを律しつつ,他人と共に強調し,他人を思いやる心や感動する心など,豊かな人間性,たくましく生きるための健康や体力)」を育むことをキーワードに,「完全学校週5日制」の導入を提言し,指導内容の厳選を求めた。
<教課審答申のポイント>
1:豊かな人間性や社会性,国際社会に生きる日本人としての自覚の育成の重視,
2:多くの智識を一方的に教え込む教育を転換し,子どもたちの自ら学び自ら考える力の育成
3:ゆとりある教育活動を展開し,基礎・基本の確実な定着をし,個性を生かす教育を充実
4:各学校が創意工夫を生かし特色ある教育特色ある学校づくりを進めること
「ゆとり教育」と批判・揶揄されているが,この理念はまっとうなもので,どこかにズレがあるか,多量の知識の蓄えを学力と見る旧弊の幻のためかもしれない。
<学習指導要領改定のポイント>
1:社会や体育・保健体育,道徳,特別活動等において特質に応じて内容や指導方法の改善を図るなど,豊かな人間性や社会史,国際社会に生きる日本人としての自覚を育成すること
2:多くの知識を教え込む教育の基調を転換し,児童生徒が自ら学び自ら考える力を育成することを重視し,総合的な学習の時間(小学校3学年以降)の新設,各教科等における体験的学習や問題解決的学習の充実
3:年間授業時数の削減,各教科等の教育内容を基本的・基本的内容に厳選し,ゆとりのある教育活動を展開し,基礎・基本を確実に定着し個性を生かす教育を充実する,児童生徒が学習内容を確実に定着できるよう個別指導やグループ指導,繰り返し指導,教師の協力的な指導など指導方法や指導体制を工夫改善して個に応じた指導を充実するよう総則に示した
4:各学校が創意工夫を生かし特色ある教育,特色ある学校づくりを進める
しかし,この学習指導要領は開始早々から「基礎学力の低下」との批判を受け,平成15年に総則の一部改定や「確かな学力の文科省アピール」が出るなど多くの議論を呼んだ。
(H・K)
(2016年2月23日)
※つづく