教育研究所
No.525「教育のキーワード・8―平成20年の改訂」(2016年2月24日)
この学習指導要領の改訂は,「確かな学力の向上(PISA調査などの,思考力・判断力・表現力等を問う読解力,記述式問題,知識・技能を活用する問題の解決,学力の2極化,家庭学習の不足学習意欲の低下,学習習慣・生活習慣が不十分,自身の欠如,将来への不安,体力の低下などの課題がある)」と「知識基盤社会への対応(政治・経済・文化をはじめ社会のあらゆる領域での活動基盤として,新しい知識・情報・技術の重要性を増す社会)」をキーワードに進められたと言えよう。
<中教審答申のポイント>
1:教育基本法,学校教育法等を改正しそれを踏まえて学習指導養老を改定する,
2:「生きる力」の理念は共有し継承する,
3:基礎的・基本的知識・技能の習得を重視,
4:知識・技能を活用して課題を解決するのに必要な思考力・判断力・表現力等の育成,
5:確かな学力を確立するために必要な授業時数の確保,
6:学習意欲の向上や学習習慣の確立,7:豊かな心や健やかな体の育成のための指導の充実。
<学習指導要領改定のポイント>
1:教育基本法や学校教育法等の改訂で明確になった教育の理念を踏まえて「生きる力」を育成する,
2:知識・技能の習得と思考力・判断力・表現力等の育成のバランスを重視する,
3:道徳教育や体育などを充実させ,豊かな心や健やかな体を育成する。
なお,外国語を通じて児童が積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育成し,言語・文化に対する理解を深めるために,小学校5・6学年に「外国語活動」を週1時間新設した。また,小学校1学年68時間増,第2学年70時間増,3~6学年35時間増とし,国語,算数,理科等の授業時数を増加し,総合的な学習の時間は削減し,中学校1~3学年35時間増加し,国語,社会,数学,理科,外国語等の授業時数を増やし,総合的な学習の時間は削減し,選択教科は標準時数の枠外とした。
学校週5日制はそのままに,平成元年当時に戻ったために,授業時数の確保にきついものがあり,学校行事の精選や土曜授業の実施など,学校現場は苦しい工夫をしているところである。今後の,総合的な見地に立った確たる将来象の下に学校教育の未来を検討していく必要がある。
(H・K)
(2016年2月24日)
※つづく