教育研究所
No.526「教育のキーワード・9―平成27年の一部改訂」(2016年2月25日)
中教審は「道徳に係る教育課程の改善等について」平成26年2月に諮問され,同年10月の答申で「特別の教科 道徳」(仮称)として制度上位置づけ,充実を図ること,また,道徳教育の抜本的な改革に向け,学習指導要領に定める道徳教育の目標,内容の明確化及び体系化を図ることや,指導方法の工夫,児童生徒の成長の様子を把握する評価の在り方,検定強化余の導入,教員の指導力向上の方策,学校と家庭や地域の連携強化の在り方など道徳教育の改善・充実に向けての必要な事項」が示された。
これを受けて,小学校学習指導要領及び中学校学習指導要領の一部が改訂され,これまでの道徳の時間が「特別の教科 道徳」(道徳科)となった。私事であるが,尊敬するYO氏は,日本の道徳教育を牽引している人である。長年の念願が叶い本当に良かった。今後,ますます日本の道徳教育充実のために頑張ってください。また,私どもを変わらず今後ともご指導ください。(なぜ知り合いかって?人事異動の間違いで,一時,道徳研究室に在籍したことがあり,無道徳の我が身を,手とり足とり助けていただいた縁で。感謝・合掌)
道徳科の主な改定点は,「いじめ問題への対応の充実」「内容の改善」「問題解決的学習の導入」「特定の価値を押し付け,主体性を持たず言われるがまま行動するよう指導することは好ましくない」「多様な価値観の,時には対立がある場合を含めて,誠実にそれらの価値に向き合い,道徳としての問題を考える姿勢こそ道徳教育で養うべき基本的資質」「考える道徳や議論する道徳への転換」,「一人一人の良さを伸ばし,成長を促すための評価の充実」がキーワードである。
特に解説「特別の教科道徳編」では,評価について,「数値的評価はせず記述式」「相対評価ではなく,いかに成長したかを受け止め励ます個人内評価」「他との比較による優劣を決める評価はなじまない」「個々の内容項目ではなく大きな括り・まとまりを踏まえて評価」「発達障害用の児童生徒については配慮すべき観点等を学校や教員間で共有」「現行の総合的な学習の時間,特別活動の記録,行動の記録,総合所見及び指導上参考となる諸事項を含めて,評価の在り方を総合的に見直すこと」を前提に専門的に検討しているという。これらを動向を見据えつつ,各学校・教師は,研究・研修を積み上げ,適切な評価が行なえるよう努めたい。(H・K)
(2016年2月25日)
※この項終わり