教育研究所
No.531「「いじめ」の意識化」(2016年3月1日)
よく「いじめは昔もあった」と言う人がいるが,65歳以上の高齢者の集まりで聞き取ったところ,昔のいじめは,単純,短気で深刻になるものはほとんどなかったということだった。自分もいじめられたことはあったが,仲間の誰かが助けてくれたし,先輩がかばってくれたり,近所のおじさんや通りがかりのおじさんが雷を落としてくれたりした。
今のいじめは,陰湿,長期化,いじめられる子の固定化,助ける正義の味方が皆無,大人の世界がいじめのモデルを提供しているなど,昔とは大きく様変わりをしている。それだけに,道徳科や学級活動で通り一遍の指導をしても,効き目は限りなく0(零=ゼロ)に近い。
ところで,いじめがいけないことを意識化させる工夫をしている実践がある。武蔵村山市では,生徒会のいじめ撲滅の協議会を開催したり,全小中学校の全児童生徒にいじめの標語を作成させ,それらを冊子にまとめて配布したりして,いじめの不当性を意識化させる工夫した取り組みを行っている。また,三鷹市の南浦小では学校独自で「各クラスいじめゼロ標語」を作成し,学校としていじめゼロキャンペーンを行うとともに,地域の皆さんにも広く知らせ,協力を依頼している。1年2組「ケンカしてもなかなおりをしてニコニコあそぶクラス」,2年4組「いじめてない?相手の気持ちを考えよう」,3年1組「ちくちく言葉はきずつくがびょう ふわふわ言葉はあったまる心」,4年1組「考えよう言っていいのか悪いのか」,5年3組「こわくないやられたしゅんかんすぐほうこく」,6年3組「見て見ぬふりしないで周りをよく見よう」など6学年20学級の素晴らしい標語が胸を打つ。 (H・K)
(2016年3月1日)