教育研究所
№560「AI対人間脳」
雑な思考を特技とする私が,珍しく「縁台将棋」と「ざる碁」を趣味としている。小中学校時代,高校時代,大学時代,職場の同僚も,だんだん疎遠になって来て,交流する人も減少の一途をたどっている。
そこで,孤独でもできる「パソコン対人間(自分)」の碁を楽しんでいる。私の腕前ですか? 20年くらい前は日本棋院のアマ4段だった(今は,脳がご主人の言うことを聞かなくなってきたので初段くらいだと思う)。
パソコンと対局する時は,2つの作戦を取る。1つは正攻法で城跡や常識を踏まえた打ち方で,もう1つは定石破り(含む出鱈目に近い手)の打ち方である。
パソコンは,後者の打ち方に混乱を起こし,勝率が高くなるという事実に気付いた。従って,まじめにやるときは前者,遊び半分の時は後者で打っている。
アメリカの人工知能(AI)対世界チャンピオン(韓国,李9段)で,人工知能が3連勝して全敗かと思われたが,世界チャンピオンが1勝したということである。その勝因を「思いがけない手を打つとAIは戸惑い判断が鈍る」「黒先を苦手とする(先手は黒,後手は白)」と言うものだった。前者は私の体験と同じ分析だ。後者は,相手がどう出るかが分からないと自分で戦略を描けないと言うことか。(結果は4勝1敗でAIの勝ち。)
今のAIは,課題を与えられると学習してかなりのことができるが,課題(問題)を自ら見つけ,それを解決するということはできないそうだ。まるで人間の在り方を示唆しているようだ。
(H・K)
(2016年4月13日)