教育研究所
№568「昔の映画」
暇を持て余し、BSで映画を観た。
小津安二郎監督「晩春」で、懐かしい笠知衆(父親)と原節子(娘)が登場し、お父さんを一人にしたくないと結婚を渋る娘に、俺はこの間の人(能の鑑賞で挨拶をされた素敵な中年女性)と再婚すると嘘を言って、結婚をするよう仕向けた話である。
白黒映画であるが、セリフもゆっくり、登場人物の演技もゆっくり、画面の移り変わりもゆっくり、情景描写も実に丁寧で、本当に満喫した。月丘夢二、杉村春子らも出ていて、素晴らしかった。
昔の映画は、役者がよかったのだとつくづく思った。わめくでもなく、泣き叫ぶのでもないが、演技で、思いをしっとりと伝えてくれる。今の映画が全て駄目だと野暮なことは言わないが、時に、昔の映画を見るのも粋なものである。
孫たちは、旧型の自動車に関心を持ち、別の楽しみ方をしていた。今のせっかちな演技をしているタレントの姿を、何十年か経って、自分のように「あの頃はよかった...」と、思い出すことがあるのだろうか。若手の俳優、女優、ガンバレ!(H・K)
(2016年4月26日)