教育研究所
№570「蓼食う虫も好き好き」
蓼(ヤナギダテ・柳蓼)は,茎や葉が苦い植物なのだが,その蓼を食草としている昆虫がいることから,「蓼食う虫も好き好き」と言われ,それが「人の好みも様々」と言う意味を表すようになった。この由来は,ものの本によると南宋の随想「鶴林玉露(かくりんぎょくろ)」の「氷蚕は寒さを知らず,火鼠は厚さを知らず,蓼虫は苦さを知らず,蛆虫は臭さを知らず」にあると言うが原点に当たったことはない。ところで,人間さまは,蓼を食べないわけではなく,食通によると刺身のつまにしたたり,蓼酢にして食用にもするらしい。私は食べた事が無い。
ところで,我が家の庭に,故郷三宅島から移植した明日葉が猫の額ほどの庭一面に茂っている。今が食べ頃なので,太目老妻が友人数人に差し上げた所,後で,「ありがとう。とても苦くて,全部は食べられなかった」「もう結構よ」と異口同音に断わられた。ところが,一人だけ「美味しかった。またいただくわ」と言うことで,「蓼食う虫も好き好き」と話題になったのだそうだ。(これを言いたかったために,学のあるふりをしてしまいました)。(H・K)
(2016年5月19日)