教育研究所
№576「ずさんなことが多すぎる」
「ずさん」は,「杜撰」と書く。「杜」は,杜黙と言う宋の詩人のことで,「撰」は詩をつくることである。杜黙のつくった詩は,詩の様式「律」を踏んでいなかったことから,これを「杜」のつくった詩「撰」で,「杜撰」と言うようになった。これが転じて,「いい加減なこと」「仕事のやり方がいい加減(でたらめ)なこと」を「ずさん(杜撰)」と言うようになったのである。
「いい加減にしてくれ!」と言たくなるような杜撰なことをあげたらきりがない。例えば,ヨーロッパのある国のことであるが,テロを警戒して,空港を閉鎖し爆弾処理をしようとしたところ,それは,前日のテロ対策訓練に使用した模擬爆弾のしまい忘れだったという。杜撰極まりない。
日本が誇るJAXA(ジャクサ 宇宙航空研究開発機構)が,X線天文衛星「ひとみ」が宇宙で分解し,運用を断念したということである。その原因は,JAXAと「ひとみ」のプログラムの修正を委託された業者との間の,プログラム(手順書作成や検証)や異常の報告などの杜撰なミスが重なったためだという。研究者の地道な研究と技術者の努力,百億を単位とする費用が杜撰によって,無駄になったのである。
間違っても,教師の杜撰で,子どもの「教育の質」や「命の安全」,「心の安心」を損なうことのないように心したいものである。(H・K)
(2016年6月1日)