教育研究所
№579「児童虐待について」
島田妙子(兵庫県児童虐待対応専門アドバイザー)さんの「昨日までのことはもういい,今日から変わればいい」を読んで,近年にないほどの感動をした。(新教育課程ライブラリVOL6:ぎょうせい)
島田さん自身が6年間にわたって虐待を受けた。殺されかけたとき,お兄さんが泣き叫び逃れることができた。その後も,首を絞められた時に,お兄ちゃんが体当たりをして救ってくれた。中学校で,親身になって相談に乗ってくれる教師に出会い,そして,養護施設へ入所した。
そんな島田さんが,3人の子育てと義理の両親の介護にパニックになり,同じような虐待をしそうになった。そして気づいた、誰もが虐待の加害者になり得ると。
子どもの頃,親から虐待を受けていたとき,味方をして助けてくれたお兄ちゃんが病気になり,病床で「つらかった過去をなんとか役立てたい」と,虐待のニュースが流れるたびに心を痛めていた。そのお兄ちゃんが亡くなり,「兄の夢をかなえなければあかん」と,今の仕事を始めたのだそうだ。
「虐待を受けている子どもたちを救い出すのはもちろん,虐待してしまう大人も救いたい」と言う島田さんの言葉が胸の重く飛び込んできた。
虐待のニュースを聞くにつけ,「ひどい親もいるもんだ,自分の子どもなのに」と傍観していた自分の至らなさを恥ずかしく思った。(H・K)
(2016年6月22日)