教育研究所
№588「教え子からの手紙」
小学校の学級担任を16年間した。そのうち,5・6年を4回担任した。2回目の時は,苦労した。特に女児が団結して反発し,あれこれが毎日のようにあった。今のような学級崩壊や授業崩壊のようなことはなかったが,それなりに苦労した。まあ,言ってみれば,思春期の入り口にさしかかった多感な女の子の気持ちが汲み取れなかったからだろう。でも,卒業式の時,私を見つめながら「ありがとうございました」と,涙する子たちを見て,ほっとしたことを思い出します。
この子どもたちが卒業し,結婚し,子どもが生まれる年ごろになるくらい年月が経ってから,母親になった教え子のK子さんから手紙をもらった。「ご無沙汰しています。・・・。この前,悩み事があって,心理学の本を読みました。そうしたら,先生の文章に出会いました。・・・。今,5年生になった女の子のことで悩んでいます。先生の助言がよく分かりさっそく試してみました。できないことを責めるより,できたことを大きく褒めました。そして,あなたならこれもできるでしょ,と,軽く注文を付けるようにしました。結構うまくいきました。私たちが,グループで先生を困らせていたことを思い出し,懐かしく,すまなく思い出しました。今になって,やっとわかりました」と。
教育は,その時に結果が出なくとも,いつか通じればよいと,つくづく思いました。(K・H)
(2016年8月8日)