教育研究所
№602「対話的な学び」
「たいわ[対話]」を電子辞書で引くと,「向かい合って話すこと」「相対して話すこと」「二人の人がことばを交わすこと」「会話」「対談」とある。(室町時代の国語の漢字表記や普通語を開設した「運歩色葉集」の中に既にあるそうだ)
月刊誌「教職研修2016年9月号(教育開発研究所)」では,特集「アクティブ・ラーニングで目指す対話的学びとは何か」を組み,文科省視学官田村学氏の「インタビュー・「対話的な学び」都は何か?」を掲載している。
この中で,「対話的な学び」は,「論点整理・平成27年8月」の「他者との共同や外界との相互作用を通じて,自らの考えを広げ深める」から,「審議のまとめ(案)・平成28年8月」の「子供同士の協働,教員や地域の人々との対話,先達の考え方を手掛かりに考えること等を通じ,自らの考えを広げ深める」と変わってきたことを紹介している。
そして,ポイントとして「子供同士で話し合ったり,協力して考えを生み出したりするだけでなく,さまざまな人とやりとりをするという空間的な広がりと,先人の知恵を分権で学ぶという時間的な広がりを持たせた学びの指向」「対話的な学びが行われることで,主体的な学びに向かう姿が生まれる。対話とは,双方向の相互作用です。私たちは,自分の考えが相手にちゃんと伝わり,相手がそれを受け入れてくれることに喜びを覚える。対話には自ら取り組んでいきたくなる性質を本質的に持っている」「対話によって,物事に対する深い理解が生まれやすくなる。他社とのやり取りを通して,自分一人で取り組むよりもより多様な情報が入ってくる可能性がある。相手に伝えようと自分が説明することで,自分の考えをより確かにしたり,構造化したりすることができる。」の3点を挙げ,「そして,対話を通して,一人では生み出せなかった智恵が出たり,新たな知がクリエイトされる良さがある。」と,本来の「対話」の意味を超えているが,参考になる。(K・H)
(2016年9月27日)