教育研究所
№614「『アクティブ・ラーニング』の感想」
学校経営や教育活動の専門誌「教育展望」2017年1・2月合併号の座談会で,文科省教育課程課長合田哲雄氏が,中教審答申の概要を説明する中で,「主体的・対話的で深い学び」に関連して,「何か新しい教育方法を導入しなければならないなどと浮足立つ必要は全くありません。目の前の子ども達をしっかりと見ていただき(略)教科特有の見方・考え方を働かせた深い学びを見極め,何をどうすればよいかを最優先に取り組んでいただきたい(要約抜粋)」と言う助言を読み,肩の力が抜けるような安堵感を味わった。
というのも,今だにアクティブ・ラーニングについて,「アメリカで生まれたもので,もともとは講義中心の大学教育を改善するための取組」と解説しているものが,2017年になってももっともらしく言われていることである。日本の教育(特に小学校)では,「Active learning(アクティブ・ラーニング)」という言い方はされなかったが,「主体的・対話的で深い学び(主体的な学び,対話的な学び,深い学び)」は,主張され,勧められ,実践されてきた経緯がある。だから,現状維持・満足にとどまらず,これを機会に,さらに進化・進歩させていくべきだと考える。アクティブ・ラーニングは,0(ゼロ)からの出発ではないのである。(「え?!」と思われる方は,「教育展望2015年9月号」pp38~42「日本におけるアクティブ・ラーニングの私的考察」をご参照ください。)(K・H)
(2017年1月30日)