教育研究所
№624「元気になれメジロ」
三宅島の思い出である。70年も前になろうか,メジロを竹籠で買っていたことがある。「チーチー」と高い声でなくメジロは,可愛いものだった。飽きてくると放鳥し,興味が再燃するとまた捕まえて飼ったものである。
ところで,この前,街を歩いていると,緑色の小さな塊が歩道に落ちていた。靴先でチョコッとつつくと,ピクリと動いた。よく見るとぐったりしたメジロである。元気になるまで世話をしようと持ち帰った。昔,鳥を飼っていたかごが駐車場の棚にあったので,蜜柑の輪切りと水を入れて,猫部屋につるしておいた。
孫弟は,すぐに気づいて「ジージ,飼おうよ!」と興味を示した。孫兄は,「メジロは飼育禁止だよ,許可がいるよ(現在は,捕獲することも飼育することも禁止されている)」と反応した。孫の父親は,「鳥インフルエンザに感染していたらどうするの!」と。
翌朝,蜜柑を平らげ,水を飲み,温まったからか,すっかり元気になって外へ出ようとする。バーバが,「(孫の)お父さんが,鳥インフルエンザを心配しているし,元気になったから逃がしてあげなよ」と,言う。
メジロは,気温の高くなった昼過ぎに話してやった。元気いっぱい,あっという間に視界から消えた。その時,パッと,一緒に飛んでいくメジロを目撃した。メジロは,常に番(つがい)で行動するが,相手が不明になり,探して,やっと見つけ,窓の外で待機していたに違いない。寒いから,元気で過ごせよ。カラスに捕まるんじゃないよ。(K・H)
(2017年2月13日)