教育研究所
№645「いじめは,○○の責任!」
プロボクシング元世界フライ級35代チャンピオン内藤大助は,小・中学校時代はいじめられっ子で,毎日のようにいじめられていた。いじめにあわない日があると,ホッとして幸せを噛みしめたそうだ。
いじめっ子と違う高校に進学して,世界が変わった。高校でボクシングに出合い,めきめきと腕を上げ,ついに世界タイトルに挑戦する機会を得た。だが,TKO負けで散々だった。
ここで「なにくそ!」と奮起し,過酷な練習をして,遅咲きの32歳10か月でタイトルを手にした。それはそれは苦しい練習だったそうだ。「こんなことでは,世界に通用しない。だから,苦しい練習に立ち向かえた」と述懐し,「いじめに比べれば...」と呟いた。
苛めの舞台だった母校の中学校の校庭に立って,「いじめのことは思い出せない...」と,語ることはなかった。
現在は,いじめを根絶するフォーラムで,子供たちや大人たちに「いじめをやめよう」と,淡々と語り掛けているという。TV番組で観る笑いを取る内藤選手からは想像できない姿で,頭が下がった。そして,「いじめには親が大切だ。福島から来た子がいたと聞いたら,いいか,その子が嫌がることを言ったり,いじめたりしちゃいけないよ」とはっきり教えるべきだと言い切った。子を持つ親と子供を指導する教師は,肝に銘じておきたい言葉である。(K・H)
(2017年5月29日)