教育研究所
№675「AIって?」
AIという文字を見て,殆どの人が,人工知能(artificial intelligence)と認識する時代である。「教師データ(知識・技能,考え方,処理の仕方など基本プログラム)を組み込まれたコンピュータが,機械学習(machine learning)によって,自分(コンピュータ自身)で学び,自分で考え,自分で判断していけるようになり,発達し続けるというものである。
そして,人間はそのうちAIに超され,「人間とは何か?」「人間は何をすればよいのか?」「人間はAIに支配されることになるのか?」などと,心配する向きがある。事実,最近,身近なことで話題になっていることは,人間対AIの「チェスのゲーム」「将棋対局」「囲碁対局」で,いずれも人間プロが,歯が立たなくなっている。人間は,AIに超されつつある。
しかし,いい面もある。既に,AIを搭載したタクシーが,当てもなく客待ちをするのではなく,「この時刻なら」「どこへ行けば」乗客を見つけられるかがかなりの高い確率で実現している。また,犯罪を行った者に,いくつかの視点からチェックすることによって「再犯率」を予測でき,効果的な再犯防止のプログラムを企画し実施することも行われている。
一番頭の痛いことは,「説明して,意味を教える知識の指導」や「アルゴリズムを教え込み,繰り返しドリルで習得させる技能の指導」には,AIロボットを使えば,教師はいらないということが言われていることである。「教育とは?」「教師が指導する(子どもに学習させる)とはどのようなことか?」を,真剣に考える必要がありそうだ。そろそろ,もっともらしく提唱されている「教えて考えさせるという授業」を超える教育原理を生み出す必要がありそうだ。(YAYU)
(2017年7月10日)