教育研究所
№693「『流れる星は生きている』の思い出」
新聞(8月14日)で数学者藤原正彦の「語り継ぐ・受け継ぐ」という特集を読んだ。母親藤原てい「流れる星は生きている」,父親新田次郎「大菩薩峠」,藤原正彦 藤原ていさん本人から昭和50年代の後半,東村山市立中央公民館で本書にまつわる講演を聞いたことがある。満州からの厳しい脱出行,凍傷で痛めた足が痛いからと座りながらその大変さと家族への想い,平和への強い想いを静かに語っていたのを思い出す。
友人のHSさんから「これは母親から読むように言われた本です」と勧められ,「流れる星は生きている」を読んだ。それから十数年,この新聞の特集に出合って,藤原正彦さんが「38度線の山を越えた強さがある。だから一生強く生きろ。これが(母親からのメッセージ)「流れる星は生きている」なんです」という言葉に接し,再度読み返してみた。この本がとてつもなく大事なことを私たちに語りかけているようで,一味違うものを感じた。
そして,8月15日,追悼式のお言葉「過去を顧み,深い反省とともに,今後,戦争の惨禍が再び繰り返されることのないことを切に願う。」を素直に受け止め,「戦争で加害者になった事実と,被害国の被害の事実と感情には,鈍感になってはならない」ことを肝に銘じつつ歴史上の事実として客観視できるようにし,「深く反省し」平和を希求して前向きに生きていくようにしたいものだとつくづく思った。(YAYU)
(2017年8月23日)