教育研究所
№708「教育展望 創刊号(62年前)」
私の愛読書(雑誌?)に,教育展望(一般財団法人教育調査研究所発行の月刊誌)がある。60頁前後の小冊子であるが,充実した学校教育・学校経営・授業実践に関わる理論・内容・実践・評価などの論文,教育課程,授業実践が満載のすぐれものである。自分を振り返ったり,行くべき方向性を探る手掛かりとして重宝している。
ところで,書棚を整理していたら,昭和30年1月号創刊号「1955年の校長額12講―展望とその対策―」が出てきた。その内容をざっくりと読んで,執筆陣と内容に感動した。学生時代,新米教員時代,教育委員会時代などなどにご指導いただいた先生方も複数いて,本物を語る人の素晴らしさに酔いしれた。
第1講:教育行政「まず文教政策を判断する基礎額はこれである 教育行政の展望(東京大学教授宗像誠也)」,第2講:教育財政「自然増・定員減―この矛盾をどう考えるべきか―見とおしは今年も緊縮(文部省財務課長天城勲)」,第3講:教科課程(注:現在の教育課程)「今年は改訂せん風が吹き飛ぶ―という長期予測を基に―誰のために誰がつくるか(埼玉大学教授海後勝雄)」,第4講:愛国心教育「ことは面倒だが,現場ではタブーとしておけなくなった―美しいコトバの魔術(富山大学教授大熊信行)」,第5講:教科書問題「あなたは教科書をどう考えております?検定制度8年目(教科書協議会事務局長白根孝之)」,第6講:学校図書館「図書館はできたけれどもこのへんでひとくふう学習資料の目録化(東京学芸大学教授坂本一郎)」,第7講:教員組合「教委と教組の板バサミに苦悩する校長先生を診断する教師=校長=教員組合(朝日新聞論説委員伊藤昇)」,第8講:教育環境「校長学に法律学をひとつ加えてみました 子どもを守る法律(日本子どもを守る会副会長神崎清)」,第9講:安全教育「安全教育の具体的計画のために まず職と地位の安全(文部省事務官奥田眞丈)」,第10講:PTA「名称はどう変わろうとPはBではありません おしゃべりで結び合うこと(教育評論家重松敬一)」,第11講:社会教育「学校のおこなう"むらつくり"教育について 金も施設もないができる(国立教育研究所員山田清人)」,第12講:教師論「校長の罪ふかくまた功高し 教員の研修(東京大学助教授宮原誠一)」と,僅か33頁であるが今に通じるものがある。(H&M)
(2017年9月15日)