教育研究所
№711「ご当地ミステリー」
西村京太郎の「十津川警部 西武新宿駅の死角」(実業之日本社文庫)の,駅名「西武新宿駅」に誘惑されて,本書を読み始めた。7章立てストーリーの第1章「高田馬場駅ホーム」を冷やかしで読んでいる内に,意外な人(刑事の大学時代の親しい友人)が容疑者として逮捕されるところから話が展開していく筋書きに引き込まれてしまった。
少々無理筋,不自然,偶然と偶然の重なり合い,・・・と,いじけて読みながらも一気に読み終えた。そうはいっても,さすが,推理小説家である。計算し尽くされたプログラミングに脱帽した。コラムニスト香山仁三郎の「解説」に,「西武鉄道のファンには誠に喜ばしいことだろう。(略)...。本書はそのタイトルからして興味を持たれる向きも少なくないに違いない」とあり,すっかり見透かされていたのである。流行歌にもご当地ソングがあるが,ミステリーにもご当地ストリーやトラベルミステリーがあり,それがけっこう当たることが体験的に分かった。
ところで,西武新宿線「高田馬場駅」は,新規教員スタートの時,駅前の不動産屋で下宿を見つけたのが付き合いの始まりである。有楽町の東京都庁&新宿の東京都庁第2庁舎に勤務していた時も「高田馬場駅」を乗換駅にしていた。
その後,やはり「高田馬場駅」を乗換駅にしてJR鶯谷駅近くのN小学校へ5年間も通った。その後も,「高田馬場駅」を乗換駅にして東西線九段下駅(又はJR水道橋駅)近くの研究所へ15年間も通い,研究の真似ごとをしていた。本書は,生活に密着していた「高田馬場駅」のことを改めて自覚させてくれた。(YAYU)
(2017年9月21日)