教育研究所
№723「息子の30年前のメモ」
本箱を整理していたら「兒童心理・創刊号1947(金子書房,時定價七圓,送料五十錢)」がでてきた。どういう経過で所有しているか不明である。
巻頭言を一部抜粋してみよう。「(略)日本の子供は,もはやこれから戰爭に勝つために一方に強制される必要はなくなった。子供の世界の自然をゆるがせる強力な力の一つは少なくとも除去された。これからは,子供の世界をあるべき本然の姿へもどし,その中の豊かな,生き生きとした,科學性のある子供の文化に培ってやらなければならない。このことは,我々日本の大人の義務である。そしてそれは單に教育者だけの問題でもない。今日,子供の教育のことは,既に單なる職業的教育者だけの問題ではなくなって來てゐる。而も,この義務たるや今直ちに實行に移すべきであり,観念の遊戯や議論の空費によって一刻の遷延の許さるべきものではない。(略)」と,発刊の熱き思いが語られている。現在の教育関係者が再確認すべき内容である。
実は,こんな難しいことを書くつもりはなかった。本書の中に,東京文理大学(現筑波大学)助教授中野佐三「子供は何を楽しみに」の中に,昭和21年(1943年)9月の立川市の小学生に「近頃どんな遊びを一番よくやりますか」と,調査した結果が出ている。5年の男子(53名)では栗拾い14人,野球9人,かくれんぼ8人,たからふみ4人,女子(38名)では水遊び8人,人形遊び6人,まりつき5人,トランプ4人,ままごと4人という結果で,今の子供とは随分異なっている。
そのページに35年前に小学校5年だった長男の「ぼくの好きな遊びベスト5」のメモが挟まっていた。「1ゲーム,2つり,3どくしょ,4ムシとり,5バトミントン」と書いてあった。ちなみに長男の子ども(次男・孫)小学校5年は,「1サッカー,2ゲーム,3虫取り,4つり,5魚の飼育,6マンガ(TV・本)」であった。大昔とは大きく変化しているが,親子ではあまり変わっていないようだ。 (K・H)
(2017年10月19日)