教育研究所
№725「信じていたのに―誤解」
そう遠くない昔,生活指導で「割れ窓理論(窓ガラスが割れたままにしておくと,それが広がり,手が付けられない状況になる。割れ窓:broken windows=ブロークン・ウインドウズ)」が取り入れられた。従って,生活指導では,「小さなことも放置せず,厳しく,徹底的に対応し,小さな芽のうちに根絶・撲滅させることが重要だ!」と多くの中学校で実践された。この種の実践事例の本も出版され,効果があると広まった。
ところが,ある本(「写真で分かる世界の防犯」小学館)を読んで,この理論が誤解であることを知った。つまり,軽微な秩序違反を容赦なく取り締まる「ゼロ・トレランス(不寛容=zero tolerance)の警備・警察活動と同一視(誤解)してはならないというのである。
「窓破り」は空き巣の手口であり,地域の秩序とは関係ない(地域住民の治安意識は大いに関係あると思うが...)というのである。
地域住民の関心と秩序ある行動は,公共施設の割れ窓,落書き,ゴミの不法投棄,放置自転車,公衆トイレの汚れなどに効果があるということだ。つまり,この種のことは,市民が行動しなければ,警察の取り締まりだけでは解決しないということである。生活指導も,児童生徒の意識と行動を変えることが重要だということである。道徳科の問題解決的学習の素材になるかもしれない。(YAYU)
(2017年10月23日)