教育研究所
№737「はじめ派vsさいご派」
昔(昭和20~30年代)の子どもは,食べ物について,ほとんど好き嫌いをしなかった。なぜなら,戦後の貧困の中の日本は食料に余裕がなく,好き嫌いをするということは「食べなくてもいい」という意思表示をすることに等しかったからである。
今,還暦を迎える年代(第1回東京オリンピックから昭和40年に小学生だった)も,給食は,4時間目に達磨ストーブの上に乗せて温めたコッペパンにジャムをつけ,脱脂粉乳を飲んでいた。目立って好き嫌いをいう子供はほとんどいなかったが,脱脂粉乳が苦手な子どもは,鼻をつまんで飲み込んでいたものである。でも,給食は大好きで,みんなニコニコ顔だった。
今の給食は,当時から見ると別世界のように多彩で美味しく,アレルギーなど子供の体質も考慮してくれるものに変わってきた。
ところで,子供の食事の様子を眺めていると,好きなものをはじめに食べる子供「はじめ派」と,好きなものを最後に食べる子供「さいご派」がいて面白い。我が家の孫は,兄が前者で,弟が後者である。兄がからかって「あれ,これ食べないの?」と,弟の好物に箸を付けようとして「なんだよ!」とふざけ合う事もある。私ですか? 食糧難の時代に育ったので,好き嫌いなく端からどんどん食べます。(K・H)
(2017年11月21日)