教育研究所
№739「センセイ・せんせい・先生」
昔,「教育じほう」という月刊誌があった。東京都立教育研究所が編集し,東京都新教育研究会が発行し,約12000部が読まれていた。廃刊になるまで,ずっと購読していた。
その中で,特集「センセイ・せんせい・先生」(1979年4月号)が何故か強く記憶に残っている。久しぶりに紐解いてみた。
教師の手記(武川明子),作文集(小学生14名,中学生9名,高校生2名),父母の手記(父母9名),経営メモ(教諭10名),論説(吉岡たすく),実践事例(子どものふれあい・中山貴美子,連絡帳・平賀文夫,子どもからの手紙・高室静子,心の触れ合い・太田良夫など6名)と,真面目な誌面である。
特に,子供の「作文集」の中の子どもの声「明るく公平な先生」「褒めたり叱ったりする先生」「はげましてくれる先生」「悩みを聞いてくれる先生」「分かるまで教えてくれる先生」「ヒントをくれる先生」「こういう先生にノーベル賞を」「心の触れ合い」など,「父母の手記」の中の「暖かい思いやりと励まし」「懐かしき小学校時代のY先生」「今なお人生の先輩として」「先生にお願い」などには,教師とはどうあるべきかと改めて考えさせられた。
最初に,私が出会った子供たち(当時小学校3年生)には,未熟で十分な教育はできなかった。にもかかわらず,「先生は誰でも大声で注意し,誰でも大げさに褒めてくれた。平等だった」「分かるまで,5回でも10回でも繰り返して説明してくれた。意味は分からなかったが,覚えてしまった」と,毎年クラス会を開く席で,酒の肴にされている。
もう,この子供たちも昨年還暦を迎え,今年は61歳になった。そこで,若い「未熟な先生」がた,どの子にも愛情をもって「平等・公平」に,接していくことは「今すぐに」実行できるので,頑張ってほしい。その上に立って,子供の生の姿に即して,「学級経営」「子供との関わり方,特によい所の見つけ方,ほめ方・しかり方」「生活指導」「授業の仕方」「学習評価」「保護者との好ましい関係」などについて,少しずつ継続してして学び続けてほしい。自分にはできず今になって後悔しているので,あえて期待したい。(H&M)
(2017年11月24日)