教育研究所
№752「時と時計の思い出」
子供の頃(今から70年前の頃),我が家には,手巻きの柱時計があるだけだった。山や畑に仕事で出かけた時は,時刻を知るのに困ったものである。(我が家は腕時計を持つような状況ではなかった) でも,午前11時になると「ボ~~ぼ~~」とサイレンが村中に響き渡るので,これが目安になった。これで,昼飯は,ほぼ正午に食べることができた。仕事を辞めて帰宅するのは,太陽の沈み加減と,腹のすき具合を基準(腹時計)とした。
本棚の隅から吉田光邦著「時から時計へ」(平凡社)を見つけた。写真と挿絵で構成された本で,パラパラと捲りながらまだ老妻がまだ若かった頃,海外旅行に出かけていた時(頃)のことを懐かしく思い出した。
ミュンヘン市庁舎の時計堂,プラハ旧市庁舎天文時計,ヴァチカンのサン・ピエトロ聖堂,ロンドンのハンブトン・コート・パレス門の時計&カトリック教会ウエストミンスター聖堂の時計,ヴェネチアのサン・マルコ広場の時計塔,ペルーのインカのマチュピチュ遺跡の太陽観測台(日時計)は特に記憶に残っている,等が記憶を再生できた。(時間的記憶が曖昧で順不同)
本書の中に,次のようなこと等も確認できた。ミュンヘン・オリンピック(1972年)の100m優勝は,ソ連ワシリー・ボルゾフで,10.14秒だった。45年後の2017年9月9日に桐生祥秀選手が9.98秒を出したばかりだ。また,広島原爆資料館の懐中時計は,72年後の今も1945年8月6日午前8時15分で止まったままだ。平和を願わずにはいられない。(H・K)
(2017年12月13日)