教育研究所
№763「昔は,よく・・・」
西武新宿線の小平駅で上りの電車に,二人の間違いなく高齢の女性が2人乗ってきた。当然,空席だった優先席に座った。(私も自他ともに認める有資格者なので真向かいに座っていた)
二人が,楽しそうに話しだした。その様子から幼馴染で今も仲良くしていることが伝わってきた。
A「駅前の和菓子屋のあんころの入ったよもぎ餅は,美味しかったね~」,B「私の食べたおはぎも美味しかったわよ」,A「お互いに,好きなお菓子が食べられて幸せね」,B「そうね!」,A「昔は,お金がなかったから...」,B「そうそう,よく,ひとつのたい焼きを半分ずつ分けて食べたわね」,A「でも,不思議と,幸せ感でいっぱいだっね」,B「それはそうよ。仲良しで,まるできょうだいみたいだったんだから」,A「これからも〇〇ちゃん,仲良くしようね」,B「△△ちゃん,あたりまえよ」と,耳がやや遠いのか大きめの声の会話が続いていく。
二人の会話につい引き込まれて,本から目を離して聞き入っていた。友人関係が何十年と続き,なんの気負いもない付き合いが自然に営まれていることに,人間らしさを感じ,とてもいい気分になった。
故郷を高校時代から離れて(石持て追われたのではなく,進学のため)以来,今のところに落ち着くまで8箇所も引っ越したので,AさんやBさんのように,幼馴染と隣近所で生活した経験はないが,小学校の同級会を今も年に一度やって,楽しんでいる。思えば,AさんやBさんと同じような雰囲気の関係があるように思う。幸せなことである。(H・K)
(2017年12月28日)
※2017年の「教室の風」は,今回が最終号です。
次回は,1月5日に配信の予定です。
読者の皆様には,よい新年をお迎えください。今後とも,よろしくご愛読のほどお願い申し上げます。