教育研究所
№769「ノート指導」
小学校の算数の研究授業を参観させて頂くことが時々ある。子供たちは,本時の「問題」を視写する,今日の課題を捉え「ねらい」を書く,自分の「考え」を書き,それを実行して解決した「過程と結果」を書く,ペアやグループで話し合い「気づいたこと」をメモする,学級全体で学び合い「考え方を修正する」「新しくわかったことをメモする」,そして「学習のまとめ」を書く。場合によっては「学習の感想」を書くこともある。「やり過ぎ!」ではないかというくらい,ノート指導(学習の過程と結果とまとめ)をきめ細かくしている。
ところが,最近の学生は,「ノートを取らない(スマホで板書をぽんと撮る)」「ノートを取れない(メモ程度がせいぜいで,試験の時に持ち込ませても役に立たない)」等々,ひどいらしい。小学校のノート指導が,中学校,高等学校でどのように変質してしまったのだろうか。(内緒の話であるが,先生の板書より子供のノートの方が,文章も文字もしっかりしている例も少なくない)。
そういえば,短い文すらまともに書けない若者が急増しているらしい。単語,記号,略語,陰語とも言えるような造語が多く,文としてのコミュニケーションをしない傾向が,影響しているのだと解説する学者もいる。世界でも例のない現象なのだそうだ。「日本語がきちんと話せ」,「日本語の文や文章がきちんと書ける」人というだけで,人間国宝に指定されることにはなってほしくない。(H&M)
(2018年1月15日)