教育研究所
№807「チーム学校・・・社会に開かれた教育課程」
「社会に開かれた教育課程」を理念に掲げ,学校と社会が連携・協働し,生徒たちに必要な資質・能力を育てることを目標とした高等学校の新学習指導要領がまもなく告示されます。
先日,私の教職時代の同僚が校長をしている都立高校を訪れる機会がありました。
その高校では,「社会に貢献できる人の育成 文武両立」を教育理念に掲げ,生徒たちの進路実現・自己実現に向けて,生徒・保護者・同窓会・地域・教職員で構成される「チーム学校」で,素直で伸びやかな生徒の資質を活かし,学力の向上と部活動の充実を推進して,社会に貢献できる逞しく豊かな人間性の育成を目指しています。
この『学校の朝』は,部活動の朝練から始まり,各部交代で,校内や学校周辺の清掃を行う奉仕活動をします。全国区のチアリーディング部の生徒たちは,隣接している小学校児童が安全に登校できるよう,部活動の顧問や近隣の方々と一緒になって交差点に立ち,児童に対して登校指導や挨拶運動を,ほかの部員は正門・通用門に整列し,高校に登校・出勤してくる生徒・教職員に対して挨拶運動を行っています。
昨今,毛髪や服装に関する校則が取りざたされていますが,この高校では,そのような事細かな校則を定めず,自らが考え実践していく「心の教育」を推進しているという校長の話には驚きました。教師が生徒を指導するときは,指導内容と本校生徒として「あるべき姿」とのギャップについて情報共有を図り,その後で,何がいけなかったのか,そのギャップを埋めるためにはどう行動すべきかを生徒自らに考えさせる指導を行っているとのことでした。
また,今年度から3年間,東京都の「アクティブ・ラーニング推進校」として,確かな学力・豊かな教養を育むため,アクティブ・ラーニングの視点に立った授業改善を進め,生徒に深く考えさせる取り組みを行っています。校長と教職員全員が保護者・地域と協働しながら,指導資料の研究開発を行い,その成果を全都立高校に普及させることを目指しています。
「社会に貢献できる人の育成」「自主・自立の精神の育成」を目指し,全教職員が一丸となって,「チーム学校」で多様な教育活動を実践していく姿を目の当たりにし,この学校で学んだ生徒たちは,これからのよりよい社会と幸福な人生の創り手となる資質・能力を身につけ,希望する進路に向かって巣立って行くことを確信しました。 (H・H)
(2018年3月14日)