教育研究所
№827「クリティカル・シンキング」
最近,クリティカル・シンキング(critical thinking=批判的思考)ということが氾濫気味である。かくいう自分も格好をつけるためによく使う。
ある人は,クリティカル・シンキングを批判的思考というのは誤訳だという。しかし,どこがどう違うかは全くわからない。そう主張する人のその理由を説明し,こう訳すべきだと言っていないからである。
ところで最近読んだ,畑違いの本で,クリティカル・シンキングの明快な解説を読んだ。これはビジネスでよくつかわれる用語で,クリティカル・シンキングのできる人は,「自分の意見が正しいよりも最良の結論にたどり着くことのほうを大切にする」「思考を飛ばして結論に飛びつき断定することがない」「情報を鵜呑みにしない」「感情に惑わされて優柔不断にならない」「他の意見に耳を貸す柔軟性がある」「自分に対しても正直になれるから,自分が間違っていたときその間違いを正せる」「感情に走らないから,どのような時も落ち着き(冷静さ)を保つことができる」のような特徴があるというのである。
「なるほど!」どういうことか理解できたような気がする。ということは,「批判的思考」を使う時も,このような思考態度をとればいいということになる。「批判」ということに反応しすぎて,相手の意見を論破するということに偏り過ぎていたのかもしれない。十分に吟味(吟味,評価,検討,分析)して,いっそう考え方・見方,仕方,方策などを広げ,深め,創造していくというようにしていきたいものだと考えるようになった。
因みにある本とは,ボーク重子著「世界最高の子育て―『全米最優秀女子高生』を育てた教育法―」(ダイヤモンド社・本体:1500円)で,第1章「世界最高水準の思考力を養う」の中から学んだ。 (H・K)
(2018年4月17日)