教育研究所
№868「ちひろの詩(うた)」
いわさきちひろさんは,多くの物語や絵本の挿絵を描いている。うまく言い表せないが,淡い夢の世界に誘ってくれるような雰囲気がたまらなく好きである。
ちひろさんは,絵は描くが物語は書かなかったといわれているが,「ちひろの詩」は実は,いわさきちひろ文・画ということである。
まきばのうし,母さんは戦場にいっておるす,赤いシクラメンの花,こどもの詩(春の子供,こどもの夢など),季節の詩(しろしろ,はなやさんのまどは,ぽちおげんきですかなど)と,24篇からなる心洗われる作品ばかりである。
松本猛「あとがき」及び巻末「初出一覧」によると,本書は,「ちひろの詩」として編まれたものではなく,新潟日報や婦人民主新聞,生前未発表作品などを編集したものだそうである。
60頁余りの小さな絵本であるが,母親の子どもへの愛情,子どもの母への思い,強く平和を願う気持ちが伝わってくる絵本である。(H・K)
(2018年7月6日)