教育研究所
№872「リーダーの条件」
私の尊敬し続けている超先輩の一人,奥田眞丈先生(前一般財団法人教育調査研究所長,元東京都立教育研究所長)は,リーダーの条件として「他人の意見を傾聴すること...特に部下や異論を唱える人の」,「うまくいったら担当した部下の手柄に,失敗した時は自分が全責任を取る」を,JR恵比寿駅近くの居酒屋で焼酎の水割りを旨そうに飲みながら,所員の私たちに教えて下さった。(あと4つあったように思うが,今日は調子が悪く思い出せない)
ところで,友人が本を刊行している企業に勤めているが,この話をした時,そういう上司の下で仕事がしたいと羨ましがられた。内緒の話だよと言いながら,「我が社では,新しい本の企画を説明しても,上司が聞く耳を待たず,そんなことより売れる本を出せ!」と一蹴されてしまうのだそうだ。本作りは創造性のある仕事なのに,友人が気の毒でならない。
また,友人の友人は,詳細は言いたくないがと前置きしつつ「ちょっとしたことで失敗をした時,だから言っただろう。きちんと責任を取って,会社の損失を最小限にしろ!と,自分一人だけの責任にされた」と話していた。
奥田所長が聞いたらどのように反応しただろうか。結構大きな失敗をした時,「失敗は成功のもと,あなたにまだ『のびしろ』があるということだ。先方には俺の指示が悪かったからだと謝っておいたから...」と,カラカラ笑いながら奥田所長自らリーダーの条件を実践していたことを懐かしく思い出し,改めて感謝した。(H・K)
(2018年7月26日)