教育研究所
№895「人の一生と介護者・被介護者」
ずっと昔,「親爺は親爺,息子は息子,親爺息子の世界を知らず,息子は親爺の気が知れず,あ~呑気なもんだね~,ところが親爺は息子を育て,息子親爺の墓建てる,......」という駄洒落歌をよく耳にしていたし,安い焼酎に酔った帰り道に放歌した覚えがある。
久しぶりに,岡野雄一の老人介護漫画「ぺロスの母の玉手箱」(朝日出版社)を手に取り,現実がこの漫画のようになっていることを実感している。認知症の親爺(親婆)と,年金給付待ちの高齢の息子(娘)という組み合わせも,今や少なくない現実であろう。
赤ちゃん(乳児)→幼児→小学生→中学生→未成年→成人・青年→若者→壮年→・・・→老人→・・・というサイクルを,家庭で,学校で子供たちと「介護とは何か?」を語り合い,人間的な営みとして分かり合えるようにする必要があるようだ。
そして,介護を社会の問題として,「介護は労力(体力)や経済にかかわること」を国や地方自治体が支援することと,家族や個人として「心を介護すること」&「心で介護すること」とを,うまく組み合わせていく必要がありそうだ。介護を身近に感ずる歳になって,そんなことを考えるこの頃である。 (H・K)
(2018年10月3日)