教育研究所
№903「雪だるま式に増える?不登校の数」
不登校の調査が行われるたびに,新聞やTVで「不登校数が雪だるま式に増えている」と,センセーショナルに報じられている。
これに対して,国立教育政策研究所の生徒指導・進路指導研究センターの生徒指導リーフ22では,「不登校の数を『継続数』と『新規数』とで考える」ことを提唱している。
全国の不登校の数のデータを分析すると,「〇中学校の継続数に着目すると,不登校状態が解消する数は学年を追って増加している。〇中学校の新規数に着目すると,不登校数の増加は特定の学年の現象ではなく,中学校全体に見られる現象である。」ことが分かる。
また,データを分析すると「☆不登校数の何人かは翌年度に解消している→不登校数は学年が上がると一度減る。☆中学校ではどの学年でも同じ数の新規数が出現する→減った数以上に新規数が増えるから,学年が上がると結果的に不登校数が増える」ということになり,「不登校数が雪だるま式に増えているかのように見えるのは,中学校では毎年度『新規数』の影響が大きい」ということがはっきりする。
だから,現に不登校である生徒の「回復を図る相談・支援・対応」を進める一方で,新規に「不登校にならないための相談・支援・対応」を充実していくことが重要である。 (YAYU)
(2018年10月17日)