教育研究所
№910「精神論!?」
H市教育委員会に勤務していた頃,市立N小学校では少年サッカーが盛んだった。ある時,指導者の若いA先生(現在,N市立H小学校のベテラン校長としてご活躍中)とのやり取りの中で,「子どもに精神論を押し付けるのは嫌いだ。具体的に技術や作戦の仕方を指導するべきだ」と熱っぽく主張されたのを思い出した。私も,40代前半まで教員チームでサッカーをやっていたので,心の隅に残っている。
ところで,日本の女子バレーで,かつて名選手として日本の女子バレーの一時代を築いたNさんが監督になった。国際試合で日本チームは,いいところまではいくのだが,ミスが目立ち,思うように成果が上がっていない。
N監督は,選手を集め,「自分を変えようと頑張らなければ駄目だ!」「あきらめないで,もう一歩頑張らないと勝てない!」「自分を変えられるのは自分しかいない」と,厳しい表情で選手に訓示している。それを選手は,ありがたそうに(?)緊張して聞いている。でも,うまくいかない。そんなことで,このようなことの繰り返しになっているようである。
私のバレー歴は,市内の小学校の対抗試合でやった程度のド素人で何もわからないが,失礼を承知で,「いつも,監督はもっと,にこやかな表情であってほしい」「もっと選手のナイスプレイを,大げさすぎるくらいに喜び,褒めちぎってほしい」「注文をつけるなら,どうするべきか,具体的に指導してほしい」「良いところを認めたうえで,もっと良くなるためにどうしたら良いか示してほしい」と,申し上げたい。すみません。(その後,日本チームは調子が出てきたようなので,自分の感想は間違っていたのかもしれない。でも・・・。)
授業中の子どもの「失敗」や「つまずき」に対する教師の支援にも通じることである。教育(大げさすぎるなら授業,指導)とは,ただ「がんばれ!」と言っから頑張るというような,単純なものではないはずだ。
(H・K)
(2018年10月26日)