教育研究所
№912「故郷を偲ぶ」
柳田國男の研究者のO氏に,私の故郷は「神着("かみつき",噛み付くではない)村」で,「この地に神様が初めて着いたからだ」と由来を話したところ,後日,「東京の地名」(平凡社)で詳しく調べて,知らせてくれた。
それによると,「開拓神である「事代主命」が上陸した所なので「神着」という。村の中央に御笏神社★1があり,その北側には神官兼役所跡の壬生氏の屋敷跡★2がある。また,前庭にはビャクシンの巨樹★3がある。当地の浅沼悦太郎氏★4が集めた古文書は国の文化財に指定されている。神着小学校跡地には都指定天然記念物の桜の巨木★5がある」と,解説されている。(★1~5は,次の補説のため,つけたもので,原典にはない)
子供のころを思い出して補説すると,★1御笏神社は「おしゃくさま」とも言い,盆踊りや野外映画場になっていた。★2そういえば同級生に壬生さんがいて屋敷跡に住んでいた。★3「ビャク杉」と呼んで,その木の枝を磨くとピカピカに光るのでよく遊んだ。壬生さんの庭には大きなソテツの株がいくつかあって,毎年かなり大きな赤い実がなっていた。★4中学校に「郷土」という時間があって,悦太郎先生から郷土の歴史を教わった。悦太郎先生の家は,確か壬生さんの家の近くにあった。★5見事な桜で,授業中飽きると窓から眺めていた。この木の種から芽生えた桜の木も大きくなっていて,6月頃には熟した濃い紫色の実を採って食べたものである。あ~懐かしい。 (H・K)
(2018年10月30日)