教育研究所
№916「Jules Verne著 波多野完治訳「十五少年漂流記」
昭和20年代の終わりごろ,小学校の図書室にあった本書を読んだ。たぶん,初版本であろう。
その頃,周囲36㎞ほどの三宅島で過ごしていたので,十五少年漂流記の一員になったつもりで,わくわくして読み,親友の加藤公平君にしつこく話しかけたことをかすかに覚えている。
磯で海藻や貝をとって,岩の上から釣り糸を垂らして魚を釣って,海に潜ってカニをとって,焚火で煮たり焼いたりして食べたのも,十五少年漂流記に重ねて思い出す。
ところで,本書を今頃になって再読したのには,実は訳がある。それは,「波多野完治訳」とあったからである。「えっ!あの心理学者の波多野完治?」と思ったからである。
そうしたらやっぱり,児童心理学者の波多野完治先生だったのである。学生時代に教員養成大学の小学校課程だったので,児童心理学が必修で,波多野完治著「児童心理学概論」で単位をとったことを思い出した。教員になってからも,先生の本は何冊か読んだ。先生がどのようないきさつで本書を訳したかは知る由もないが,少年の冒険心と児童心理はつながっているような気がする。
自分も,著書か翻訳書で,さりげなくこのような仕事をして,子供たちの心を躍らせてみたい。K社の編集部のSさんやTさんに「きっと売れるよ!」頼んでみよう。まだ100歳までにはかなり時間があるから・・・。(H・K)
(2018年11月13日)