教育研究所
№944「じっくり取り組んだキャリア教育」
2020年から全面実施される学習指導の「総則」に,「児童(生徒)が,学ぶと自己の将来とのつながりを見通しながら,社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力を身に付けていくことができるよう,特別活動活動を要としつつ各教科等の特質に応じて,キャリア教育の充実を図る」と示されている。
また,特別活動の「学級活動」に,小中学校ともに,「一人一人のキャリア形成と自己実現(ア 現在や将来に希望や目標をもって生きる意欲た態度の育成,イ 社会参画意識の醸成や働くことの意義の理解,ウ 主体的な学習態度の形成と学校図書館等の活用)」を示し,キャリア教育に関わる活動を通して,児童生徒が現在の生活や学習を振り返ったり,将来の生き方を見通したり考えたりして記述するキャリア・パスポートを作成し,活用していくことが求められている。
子供たちの生活や学習に向かい合う状況(実態)を見るに,上記のような指導を行うことの難しさを感じさせられている。それに,「言いたいことはわかるが,何をどうすればいいのよくわからない」というのが正直なところであろう。と,思っていたところ,素晴らしい発見をした。出来ないことの言い訳を考えてばかりで,将来を見通しながら自ら考えることを避けていたことを恥ずかしく思った。
その発見とは,「キャリア・パスポートで「児童生徒理解」につなぐ~世田谷区立尾山台小学校「キャリア・パスポート」より~」だった。(文科省・国立教育政策研究所生徒指導・進路指導研究センターのキャリア・パスポート特別編4)である。
わずか4ページに凝縮した小冊子であるが,「一人ひとりの中にある"小さな気づき"その積み重ねと振り返りで"大きな宝物"につなげる」「身に付けさせたい力・自分の良さに気づく力(自己理解力),思いを受け止める力(人間関係形成・社会形成能力),思いを伝える力(人間関係形成・社会形成能力),チャレンジする(課題対応能力,キャリア・プラニング能力)」を基にして,キャリア・パスポートを通して児童が成長していく様子が伝わってくる。(子供だけに求めるのではなく,教師としてのキャリア・パスポートを作って,キャリア教育はもちろんのこと,教育全般について前向きに取り組んでいこうという決意をした) (H&M)
(2019年2月18日)