教育研究所
№959「コケの一念岩をも通す」
Y新聞の朝刊のコラムを読んでいたらこの「コケ」のことが話題になっていた。「苔の一念」と思い込み,「か弱い苔でも一途に続けていれば固い岩を割ることだってある」と信じていた。
ところが,「虚仮の一念岩をも通す」で,「どんなに愚かな人(特別に優れた才能を持っていない人)でも,思いを一途に行えば,岩をも貫通するような大きな仕事ができる」というのが,真の意味であるということを知った。なんとも恥ずかしいことである。我が身を「虚仮の如し」とあきれてしまった。
ところで,「虚仮」の意味を詳しく調べてみると,仏教用語で嘘(うそ),空言(そらごと)という意味でこれが強調されがちであるが,以下のように,多様な使い方のあることが分かり,少しばかり賢くなったような気がする。覚えることは得意だが思い出すのが苦手な自分だから役立てることはないであろうが。
「仮」は実体がないこと,実体の伴っていないこと,真実でないこと,外面と内心が一致しないこと(人),思慮のないこと(人),愚かなこと(人),見せかけだけで中身のないこと(人)などである。
余談ではあるが,「虚仮にされた(こけにされた,愚弄されたとも言う)」と使われることもある。今の若者には通じないかもしれない。 (H&M)
(2019年3月26日)